[POPS] [平井]

一枚のレコードから

私にとっての、この1枚

ブラック・アンド・ブルー/ザ・ローリング・ストーンズ

こばやち 1999/08/13
はたして自分のROCK初体験はなんのレコードだろう?
いろいろ思い出してみるとここに突き当たる。
ROCK初体験にしてストーンズ初体験。上々だね。

これ、確かオレが始めてステレオ買ってもらった頃、
つまり中学1年ぐらいん時のレコードである。
当時LP1枚¥2500で一月の小遣いが確か¥2000。
一月1枚買えないのである。
それでも貯めに貯めて2月に1枚は買っていたのだ。
そんなんだから買う時は検討に検討を重ねてリストアップして、
それでレコード屋さんに行ってもまだ悩みに悩んで
1枚のレコードを購入していたのである。
当時はあまり洋楽のかかるラジオ番組はなく、
しかたなく「ミュージックライフ」などの雑誌のレコード評で、
買うべきか見送るべきかを二月悩む。
で、買ったレコードがハズレたときの落胆といったら、
正に目の前まっくら状態。
この2月間はなんだったんだ?としばらくは立ち直れない。
今だに本は簡単に買えるんだけどCDは悩むんだよな。

そして中学1年生でその一大決心して買ったレコードの一枚がコレである。
ストーンズだったらもっと中学生にも解りやすいアルバムがあるのに、
よりによってまったくハデさのないコイツである。
当時昔のレコードも欲しかったんだけど、やはり新しい曲、
今思うとリアルタイムで聴けるモノが欲しかったんだね。
今でもこの判断は正しかったと確信している。

でその時の新譜が「ブラック・アンド・ブルー」なんだけど
これは中学生には辛かった。
12のガキにブルース理解しろっても無理だよなぁ。
しかし2月に一度のイベントである。(レコード買うのがイベントなのである)
それに天下のローリング・ストーンズだよ、悪い訳ない。
ミュージックライフでも絶賛してたじゃないか。
もし悪いんだとしたら、それはオレの方である。
もう、わかんないけど毎日毎日聞きましたよ。
聴いて聴いて聴きまくりました。
で、結局わからず、これ依頼しばらくオレにとってストーンズは禁句になってしまうのだった。

それからしばらくたってテープの整理をしていて、
偶然このLPを落としたテープを耳にした時、なんだかイイんである。
えっ?ってな感じで目ウロコ状態。
こんなにカッコいいとは、今までオレは何を聴いてきたんだ?
いったい聴いた当初とインターバルが空いた後と何が違うのか?
絶対イイんだと思い込んで聴くよりも、
ナチュラルに聴いたほうが素直に伝わってくるのか?
でも、やっぱり解らなくても聴き込んだ経験がモノをいってるのだと思う。
こんな風にレコード聴き込んだ経験はもう出来ないであろう。

もうそれからは坂道を転げ落ちるよーにストーンズ一直線。
ジャンキーと言っていいほど一時期聴きまくりました。
その後パンクが台頭してきて真っ先に敵としてミックが祭り上げられる。
この時のジョン・ライドン
 「ミック・ジャガーは金に埋もれたブタだ。」
対するミック
 「パンクなんてゴミだ。」
そのパンク・ロックが吹き荒れるなかに出したレコードがこの次の「ラブ・ユー・ライブ」。
これがまた凄かった。
まず、時代に逆行するかのよーに、当時すでにトレンドではなくなっていた
アンディ・ウオホールのジャケット。
そしてそのライブなんだけどこの「ブラック・アンド・ブルー」以上にブルース。
しかもスマートな感じのそれでなく、なんだかエネルギーの塊のみって感じの存在感。
テクニックもなにもなく、ただひたすらにストーンズとしか言いようのない音。
ある意味ものすごくパンク的なレコードで、
この時代、ピストルズとストーンズの両方をリアルタイムで聴けたのは幸福であった。

だからこないだの「ブリッヂ・トゥ・バビロン・ツアー」でその中の
「メモリー・モーテル」やるってんですっごく期待して行ったんだけど、
やってくれませんでした。ちぇっ。
ライブそのものは前回よりもよかったんだけどさ。
もし次回というものがあるのなら、
そん時は「ホット・スタッフ」もやってくれよ。