[POPS] [平井]

ライブ・レヴュー

チープ・トリック 99.10.15(FRI)中野サンプラザ

こばやち 1999/10/20
なぜ今、チープ・トリックを聴きに行こうと思ったのだろう?
正直、「ドリーム・ポリス」から聴いていないのだ。(何年前だいったい?)
でもなぜかその気になった。
実際好きなんだけれどCD持っていなかったり、
何度も来日しているのに行かなかったりするバンド、ミュージシャンがいる。
けして嫌いな訳ではないのに、だ。
これもやはり縁なのだろう。
今回は縁があった、とうとうその時期がきた、そんなところ。
そんな訳で行ってきました中野サンプラザ。

まず客層、オレの世代がだんぜん多いのかと思っていたら、
けっこう色々バラケている。
もちろん主力は30半ばであるのだがとにかくハバがある。
そしてみんな普通の人。
音楽ファン、ロック・ファンという感じでなくて、ほんと「普通」。
そしてみんな初めて来たってな感じではなく、毎年来ている様。
なんだかアット・ホームであるのだ。
開演前もなんかみんななごんでいる。
それがすごくいい雰囲気。
そして客電が消えると、みんな自然に、当たり前の様に立ち上がる。
興奮が押さえ切れなくて立ち上がるってのじゃなくて、極々自然に。
こんなノリは初めてだ。

オープニングはいきなり「甘い罠」。
ここでもみんな興奮しきって「ワォ!」ってんじゃなくて自然に楽しんでいる。
ようするにミュージシャンをヒーローとして、アイドルとして接するのではなく、
もっと身近なところで音楽に接しているのだ。
これは気持ちいい。
後ろの方の端っこの席だったのでステージだけでなく
客が楽しんでいるのがよく解るのである。
今回のツアーがそんな主旨なのか、昔の曲がメインになっていて
ワタシも知っている曲もバンバン演る。
やー、たのしめました。

最初出てきた時の印象は、Gのリック・ニールセン、かっこいい!!
あの例のすっとぼけたキャラクター。
しかも変、すごく変なんだけどかっこいいいのだ。
アゴ髭長く伸ばして先っぽになんかくっ付けてるし。
あれギター弾きにくそーだぞ。
なんと言おうか、ワタシ好みのかっこよさなんだ。
くせのあるユーモアとでも言おうか。
どっか、昔のやせていた頃のコステロを思い出す。
でもってギターがうまい。これぞロック・ギターって音を出す。
かなりのテクニシャンである。
で弾きながら例のピック投げであるのだが、これがすごい。
ブーメランのようにピックが飛ぶのだ。
少なくもサンプラの1/3は飛んでいました。
ガンガン投げるのでトータルでは弾いている時間と半々ぐらい投げていたのでは?
芸人だなぁ。
そしてVoのロビンは唄のみでMCもすべてリックなのだ。
かなり変則的だよね。
役割がしっかり別れているってことか。

途中ゲストで来日中のMr.BIGのポール・ギルバートが1曲参加。
よく知らないので有り難くもなんともなかった。ヘタだったし。
そしてラストは「サレンダー」だっ!!オレも唄えるぞ!!
そしてリックの例の5ネック・ギターだっ!!
もう20年前に雑誌で読んで知っていたのだが、まだ使っているんだ。
どーでもいいけど一番下のネックなんて使えないんじゃない?
重くて弾きにくそーだぞ、おい。
アンコールではリックを型取った2ネック・ギターも登場。
これも20年以上使ってんな。
よーするに音楽的な必然性でなくてウケ狙い。
そして今やそれがお約束になっているのだな。
実際すごくおもしろかった。

しかしノスタルジー、ナツメロ的でなくて、ばっちり今でも通用する。
曲自体が古臭くないのだ。
古くならず、わかりやすいポップなロックン・ロール。
昔は日本で洋楽、とくにROCKといえばマニアックな種類の音楽であったが、
今回の客層を見ればすでにROCKも大衆音楽として成り立っていることが解る。
フロント・マンがこれだけ芸人で、Voはブロンドの美形、
その上演る音楽がこれだけポップ!そして20年以上のキャリア。
そして初来日が武道館で今はサンプラだけど、ミーハー・ファンは淘汰され
客層も格段に良くなっている。

いそうでいないよ、こんなバンド。