HIRAI pops BBS

今世紀中に見ておきたい伝説上のミュージシャンPARTⅡ。最後の大物である。
とにかく存在することはわかっているのだがこの目で見るまで信じられないという人物。
ドラッグと精神の不安定でもはや廃人寸前と言われ、
もう人前に出なくなって30年近くはたっているんじゃない？
しかし伝え聞く話によると完全に復帰してアメリカではサイン会までやったってんだから驚いてしまう。
ホントかよ。と半信半疑で奇しくもＪ・ベックとおなじ会場東京国際フォーラムへ。
客層は20代後半から50代までと巾広い。でもやっぱり40代の連中が多いかな？
おれの前の席などどう見ても50後半の老夫婦。
しかしこの会場のどこかに山下達郎と村上春樹はいたね。絶対。

さぁ開演だ、とブザーがなると目の前のスクリーンに過去の映像が流れる。
ポールの時のように60年代からカウントダウンするって感じではなく、ほとんどリハビリビデオ。
やっぱりな。フイルムコンサート（古い）だったんだ・・・・・。
諦めかけたところに舞台袖からデブなおっさんが出てきて「コンバンワ」
その瞬間、どわ～っ！！とものすごい歓声。
　ブライアン・ウィルソンが日本のステージに立って「コンバンワ」
もう、それだけで大盛り上がり。
しかしなんだか客の方がどっか緊張しているのがおかしい。
まぁそれも１，２曲目ぐらいであったが、それにしても反応がいやに暖かいのだ。
まるで障害者に気を使っているような感じ。
なんだかなぁ。
元気そうなんだけどちょっと声が不安定に聞こえるのは思い過ごしか。
で、その声なんだけどうまい、へたではなくてその声が出た瞬間に
会場すべてがビーチ・ボーイズの世界に染まってしまう。
単なるデブなおっさんなのに。
コレはすごいね。

個人的にはビーチ・ボーイズにはあまり思い入れはなかった。
ガキの頃はブリティシュ・ロックに狂っていたから、アメリカのしかも西海岸のそれは、
子供心にあまりに能天気に映ってみんなバカに見えたのだ。
ぼくら世代の西海岸といえばやはりイーグルスで、「テイク・イット・イージィ」なんて、
「なに言ってんだ。人生ってのはそんな甘いもんじゃないんだよ」（ヤなガキだね）
ってな感じでバカにしていたのだ。
（あくまで「ホテル・カルフォルニア」の前まで。小学生でこの感性・・・。）
ビーチ・ボーイズのサウンドは今聴くとものすごく緻密に作ってあるのが解るけど、
その頃はあまりに単純に聴こえてダメだったのです。
それにあのサーファーっての、今見てもみんなバカに見えるんだよなぁ。
（ブライアン・ウィルソンはサーフィンやんないそうです。）

だったんでこの日もお目当てはニューアルバム（「イマジネーション」傑作です）の曲で
ビーチ・ボーイズにはまったくの無防備状態で行ったところでいきなり、
「ドント・ウォーリィ・ベイビィ」　
泣きました。
マジでなんだか知らないけど涙が溢れた。
これについてはまた次回で考察するけどとにかく鳥肌モノ。
もうそれからビーチ・ボーイズ・ヒット曲攻勢。
ビックリしたのはバカにしてLPはおろかテープ、CDさえもっていないのにもとんどの曲を知っているんだよね。
しかもサビの部分なんて唄えちゃう。
この事実から言えることはただ１つ、ホントは好きだったんだ。
完敗です。
無論ジジババ連中大喜びで、前の席の老夫婦なんて若返ってラブラブ状態になちゃったぞ。

仲入りが入る（しょうがないよね）2部構成になっていて、後半出てきたときに
なんとオレンジの吉野屋のはっぴみたいなの着て出てくる。
　ブライアン・ウィルソンがダサいはっぴ着てステージに立つ。
これだけでまた客大盛り上がり。
コイツこんなキャラクターしてたのか。
ナイーブで神経質な天才といういままでのイメージを見事に裏切って、
これでは単なるオチャメなデブ。
でもそれもまたなんだかイイ感じ。

ほとんど演出らしい演出はなく、1曲ごとに丁寧にMCを入れて演奏する、
なんか懐かしい感じのするスタイルで、
後半総立ちで辛かったかもしれないが、年寄り連中などオレ以上に感動していた様子でした。
けどあれじゃあ彼等翌日はたいへんだったんじゃないかなぁ。
前の老夫婦、盛り上がってたけどあのままホテル直行なんてことに成りかねないノリだったぞ。
あと20年もしたらオレも70年代後半のアーティストをこんな感じで観るようになるのか？
そういや10月にチープ・トリックが来日するそうですよ。
誰か一緒に行きません？
みんなで「サレンダー」合唱しよう！

ライブ・レヴュー

ブライアン・ウイルソン／99.7.14（WED）東京国際フォーラム・ホールA