ライブ・レヴュー
ロン・セクスミス/99.9.12(SUN)クラブ・クアトロ
こばやち
1999/09/13
LIVEは生物だから当然やっている人間が出てくるものだと思う。
もちろんその時々の感情を交えて出てくるから
その日その日でまったく違うものにもなりうる。
プレイしている時だけでなく、曲と曲の間、MCの時、
なにかアクシデントとのあった時なども含めて
その人柄を感じる時がよくあるのだ。
この日のオープニング・アクトを務めた高野寛はとても謙虚で
ミュージシャンにありがちな押し付けがましさが見られず、
とても好感のもてるLIVEであった。
そもそもすでに前座を務めるような格の人ではないのだが、
ロンのファンでプロモーターに無理いってやらせてもらったという。
だいたいいつも訳のわかんない前座が多いので、
今日はとても幸運であった。
そしてヘッド・ライナーのロンの方であるが、
新作がストリングスを入れた曲が多かったので、
どんな演奏になるのか興味があったのだが、
いつもの通りの3ピース・バンド。
しかし曲によってエレキに持ち替えたりして、
だいぶ表現に巾が出てきたようだ。
こないだ行ったジュエルのコンサートではいきなり後半エレキ持ち出して
普通のロック・バンドになってしまって驚いたけれど、
ロンはあくまで曲によって楽器を替えているのでホッとした。
あんまり上手じゃなかったけど。
でも上手だとか下手だとかの問題ではないのだ。
ロンはロンで、いつもの通りちょっとシャイでぶっきらぼうなキャラクター。
それはどんな楽器をもっても変わることなく、
客もそれを観に来ているのだ。
あらためて思ったのだが曲がいい。
それに勝るものはない。
彼のLIVEはこれで3回目であるがLIVEのアレンジ、演奏も初来日から比べ、
格段上達している。
なんでこんなにすばらしいアーティストが毎回クアトロなんだ。
この会場は数あるライブハウスの中でも好きなところではあるのだが、
そろそろホールでもやっていいんじゃないか?
(個人的なことを言わせてもらえば2時間半立ちっぱなしはチト辛くなってきた)
やっぱり売れてないみたいだなぁ。
でも変に売れてバカな客が増えるのもヤだからこのままでもいいのかもしれない。
毎度言ってるけどLIVEにおける客層ってのは非常に大事で、
このキャパのクラブでほぼ全員純粋な、
しかもよく音楽を知っているファンってのはとても気持ちがいい。
スプリングスティーンのカバーをやってすぐに反応する。
やっぱオレと似たようなやつらが集まってんのかなぁ。
好きな曲も同じみたいで「ストロベリー・ブロンド」では一段と大きな拍手。
手前味噌になってしまうがロンのファンって音楽的センスのいいやつだと思う。
みんな外見は派手な感じでなく、ごく普通の人ばかり。
年令はバラバラだけど男女比は同じぐらいで、1人で来ている人もけっこういて
ワタシも変に浮いたりせずに溶け込めてしまう。
人種が偏ってないのだ
本来LIVEってのはこうあるべきだと思うのだが、
こーいうコンサートってなかなかないんだよね。
彼のレコードは新譜が出るたびに前作よりも良くなっているのであるが、
コンサートもしかりで、来日するたびに良くなっている。
よって今回も過去最高。
前座の高野寛も含めてとてもいいコンサートでした。